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難易度の高いビザ(経営・管理)が許可になりました!

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2022.12.12

海外の方を経営者や管理者として日本にお呼びする「経営・管理」のビザ(在留資格)は、他の在留資格と比較しても結構難易度が高く大掛かりです。今回は、その「経営・管理」の中でも、これまでで一番大変だった難易度の高い案件が許可になりました!

なぜ「経営・管理」のビザ(在留資格)は難易度が高いのか

外国人が日本に在留するためには、何らかの在留資格が必要です。コンビニで働いているような若い外国人の方は留学のビザが多いと思いますが、どんな外国人でも何らかのビザを取得しています。
その中でも最高峰と言われるのが「経営・管理」のビザ(在留資格)です。

ではどんな要件があるのか、「経営・管理」の中でも特に「経営」に絞って、柔らかい言葉で少し書いてみたいと思います。

経営をするに足る資金が必要

具体的には500万円の現金が必要です。
通常は資本金500万円の会社を新たに作ることが多いですが、個人事業主の携帯でもできなくはありません。但し、個人事業主の場合は、貯金残高が500万円あれば良い、というわけではなく、その500万円を事業用(事業準備など)に使ったことがわかる領収書が必要になります。500万円全部使うことが現実的でないことから、個人事業主として「経営・管理」ビザ(在留資格)を取得することは少なく、そのほとんどは資本金500万円の会社を新たに作ります。

独立した事務所が必要

在留資格の案件でなくただの会社設立であれば、自宅を会社の本社にすることも可能ですが、「経営・管理」ビザ(在留資格)の場合は事務所は別個独立の場所でなくてはなりません。自宅でも全くダメということではありませんが、事務所と居住部分が完全に分かれていることが必要で、具体的には入口が違っている(2つある)必要があるイメージです。
よって自宅住所を本社として登記するのは在留資格上はそのほとんどが不可となります。つまり、どこか事務所を借りる必要が出てきます。但し、バーチャルオフィスは不可となっております。出入国在留管理局(入管)は実態上ちゃんと事業が行われうるかどうかを見ていますので、バーチャルオフィスのような住所だけ貸す、という形態は不可としています。

事実上、日本に住所を持っている人を役員として入れる必要がある

日本におらずまだ在留資格もない人が代表取締役(社長)になっている会社だと、日本ではなかなか事務所契約ができません。日本人や日本に住所を持っている永住者や定住者(就労制限のない在留資格)等の方を役員に入れて、その方が日本サイドで動く形だと比較的スムーズに手続きが進むことが多いです。

事業計画書の作成が必要

私が出入国在留管理局に経営・管理のビザ(在留資格)を申請する場合は、将来3年分の事業計画書を作成して提出します。この事業計画書の求められるレベルは、日本政策金融公庫の創業融資のひな形ぐらいのレベルは最低限欲しい形だと思います。売上の事業計画はこのひな形レベルに加えて、売上や経費を細分化した月ごとの表で作成します。
これから創業する場合は、当事務所と相談しながら計画書作成していきます。そのあたりのサポートも当事務所の得意とするところです。

業種によっては、ハコ(店舗)の契約も必要

例えば飲食店を経営する会社を作った場合は、少なくともハコ(店舗)のめどがついていなければなりません。通常は、在留資格が通ったら、という停止条件つきで契約するか契約の予約をし、その書面を出入国在留管理局(入管)に提出します。

ここまで書いた程度でもかなり大掛かりな在留資格であることがお分かりいただけたと思います。

今回の申請は何が大変だったのか

一人社長やプラス1名の日本にいる人間が役員となっている会社の場合は比較的楽なのですが・・・。

役員3名の会社で、そのうち2名の同時申請だった

この場合、まだ売り上げのほとんどない会社に、3名の取締役が必要なのか、なぜ必要でそれぞれに何をやらせるのか、という部分をきちんと説明しなければなりません。
それだけの業務がないと判断されればビザは通りません。
今回は、最初に比較的しっかり説明文を添付して申請したにもかかわらず、申請後に入管から追加の説明や資料を求められました。

経営のビザ(在留資格)は、あくまで経営者ですので、現場の仕事はできません。
よって、現場は従業員が回していく前提で諸々の計画を立てねばなりません。
今回は、追加資料で更に詳細に、各取締役の役割分担や、全員必要な役員であること、作業に見えることも一時的な付随業務であることなど、ご依頼者からヒアリングしながらものすごく神経を使った記憶があります。
特に3名のうち2名を海外から呼ぶ流れでしたので、それぞれの外国人の役割分担については明確に分かれていなければなりません。

(備忘録として)出資については、1人500万でなくても良かった

出資の要件として、500万円という要件があります。これは1名500万円なのか、たとえば出資する人が複数名いた場合に、合計して500万円あれば良いのか?
一人500万円と思っている方(行政書士含め)も多いと思いますが、これは法人設立で行った場合は、会社の資本金が500万円であれば良い、という形になります。
ただ、例えば取締役2名のうち一人が日本人、一人が申請する外国人として、二人で出資した場合に、外国人1万円で日本人499万円の出資で行けるかというと、これはまず認められません。
最低限でも株主総会の特別決議(簡単に言うと、資本金の3分の2以上(具体的にはもう少し細かい要件あり))で可決できるぐらいは外国人が出している必要があるでしょう。資本金500万円なら、そのうちの3分の2以上は出資していないと、株主総会での議決権がなく、経営していくという部分では解任などのリスクも発生しますし、経営者として来日するという説得力に欠けてしまいます。

でも、資本金500万円以上で、うち申請外国人が3分の2以上出していれば、その部分だけで却下になることはないと考えます。実際今回も、2名とも500万円は出していませんでしたが2名とも許可されました。

在留資格の要件で悩んだ場合は、出入国在留管理局(入管)がどういう視点で見ているのかを想像して対応していく必要があります。

在留資格(ビザ)の申請は名古屋市熱田区の司法書士 行政書士みずの法務事務所まで

当事務所では経営・管理ビザにかかわらず、技術・人文知識・国際業務、特定技能など様々なビザの申請に対応しています。
ビザで悩んだ場合は、当事務所にお気軽にご相談下さい。

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